目への影響

人の眼は、結膜、角膜などの眼球表面と、眼球内部の組織からできています。波長が280ナノメートル以下の光は眼球表面の角膜で吸収されます。この波長を超える光(図1参照)が眼内へ侵入しますが、大半が角膜で吸収されます。角膜を通過した紫外線のほとんどが水晶体で吸収され、残りの1〜2%の紫外線が水晶体を通過して眼底(網膜)まで到達します(図15)。
図15 紫外線の眼内吸収機構

紫外線曝露による眼への影響については、以下のようなものがあります。

1)紫外線角膜炎
紫外線に強く曝露した時に見られる急性の角膜の炎症で、曝露後30分から24時間たって角膜の多発性上皮びらんを生じます。異物感、眼痛、流涙、結膜充血がみられます(南山堂医学大辞典第18版)。雪面など特に反射の強い場所で起きる"雪目(ゆきめ)"が有名てす。症状は数時間て現れ、大部分は24〜48時間て自然治癒します。

2)翼状片
眼球結膜(白目)が翼状に角膜(黒目)に侵入する線維性の増殖組織で、通常は鼻側に好発します。 異物感、充血、乱視を生し、瞳孔領近くまで伸展すると視力障害をきたしますが、進行は早くありません。戸外で活動する者に多発し、紫外線曝露を含めた外的刺激がその発症に関係すると考えられています。 また、翼状片は紫外線の強い地域で発生頻度の高いことが知られています。 顔面外側方から眼に入る光線が鼻側の角膜近辺に集光しやすいことも、紫外線と翼状片発生の関係を強く疑わせる理由の一つてす。さらに、同じ地域でも、紫外線曝露量の多い人ほど翼状片に罹る割合か高いことが明らかになっています。

3)白内障
白内障は眼科疾患の中で最も多い病気のひとつで、加齢によるものが大部分を占めています。水晶体本来の加齢変化の上に複数の原因(危険因子)が加わって、水晶体が混濁して(にごって)物が見えにくくなってきます。白内障は進行するとやがて失明に至り、手術以外では視力は元に戻りません。そのため、手術を受ける機会の少ない途上国を中心に失明者は増加しており、白内障は全世界でみても失明の第一原因となっています。紫外線もこの白内障の危険因子の一つと考えられており、紫外線量の多い地域に住む人と少ない地域に住む人の間で白内障の有病率や進行度が異なることが、疫学調査で明らかになっています。眼(虹彩)の色が白内障発症と関係するかどうかについては、はっきりしていません。

 

*紫外線保健指導マニュアル(環境省)より引用